遊城十代は人生そのものである 第3期

3期:十代に課せられた責任、罪、そして十代の選んだ道とは

 

1期編はこちら↓

https://pikadango-key.hatenablog.com/entry/2021/02/22/175153

 

2期編はこちら↓

https://pikadango-key.hatenablog.com/entry/2021/02/22/175213

 

3期では十代たちが3年生に進級します。そして学園にはアカデミアの姉妹校からそれぞれ1人ずつ留学生がやってきます。その内の1人がヨハン・アンデルセンです。

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明るく快活な性格で「宝玉獣」シリーズのカードの使い手であり、カードには精霊が宿っていてヨハン本人も精霊が見え意思疎通ができる決闘者です。同じく精霊が見える十代とは性格が似ていること、精霊が見えること等共通点が多く、すぐに意気投合し親友の間柄となります。このヨハンが3期十代における重要な存在となります。

3期のストーリーは大きく3つに分類できます。1つ目が学園生活編、2つ目が異世界編1、3つ目が異世界編2です(このアニメ異世界行き過ぎ)。

学園生活編では留学生組と共にやってきたプロフェッサー・コブラが主催するデスクロージャーデュエル、通称デスデュエルというものが開催されます。このデュエルでは勝者敗者共にデュエルが終わる度に謎のエネルギーが学園のどこかに転送され、決闘者が活力を失うという現象が発生します。十代たちは要因を突き止めた結果、コブラが「ユベル」という存在に「エネルギーを集めたら亡くなってしまった息子を生き返らせて欲しい」という願いの元このような行為を行っていることに気が付きます。十代はコブラにデュエルを挑み勝利しますが、コブラはその後消息不明となり、デスデュエルで溜まったエネルギーによりユベルが腕だけ復活し、他者の身体を借りつつ学園と生徒を全てまるごと異世界送りにします。そして物語は異世界1に移ります。

異世界1ではデュエルモンスターズのモンスターが実体化する砂漠のような世界で、十代たちはこの世界からの脱出を目的として行動します。

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異世界1

 

一方ユベルは加納マルタンという生徒の身体を借り第1期で封印された「三幻魔」のカードを再び蘇らせます。十代とヨハンはタッグを組み、三幻魔を操るユベルと直接対決します。そのデュエルの中でヨハンは7種類の宝玉獣が揃った時にはじめて召喚できるモンスター「究極宝玉神 レインボー・ドラゴン」を呼び、その身を呈してヨハン以外の全員を異世界から脱出させます。

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三幻魔VSレインボー・ドラゴン

 

残された十代は「自分のせいでヨハンが異世界に取り残されてしまった」と責任を感じ、仲間たちと共に再び異世界に突入しようとします。ここから異世界編2、ひいてはGX史上最も暗いエピソードがはじまります。

異世界2では異世界1とはまるで雰囲気が違う世界に飛ばされてしまいますが、十代は「きっとヨハンはこの世界で生きている」と信じ、仲間たちと先を進みます。

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異世界2

 

この異世界2でも異世界1と同じくモンスターが実体化する危険な世界ですが、十代はヨハンを救おうとする気持ちが先行するあまり周囲の仲間たちを省みなくなってしまいます。その結果、仲間たちから見限られ、「怒」「憎」「悲」「苦」「疑」の負の感情が溜まりこみます。決闘者 暗黒界の狂王ブロンはそこにつけこみ、「邪心経典」に5つの負の感情をたくわえて「超融合」なるカードを完成させるため、「疑」が埋め込まれた人物を除く仲間たち4人を人質に取り十代とデュエルを行います。その中でブロンはダメージを受ける度に邪心経典に1文字ずつ文字をつづる=その文字を埋め込まれた人物の命を奪っていきます。しかもトリガーはダメージを受ける度。つまり、十代の手によって仲間たちの命が亡くなっていくのです。

「フハハハ!攻撃してこい!もっと攻撃するのだ!我へのダメージは邪心経典をえがく血文字の代償!そしてつづられるページは、あいつらそのものなのだ!」

「どうすれば……このままだとオレは命を削られ死んでしまうだろう……しかし、やつの命を削れば仲間たちが死ぬ……!そんなことをするくらいなら、オレは自分自身の死を……」(TURN-135 十代VS暗黒界の狂王ブロン)

十代は戦意を喪失しデュエルを放棄しようとしますが、ブロンは戦闘を強要するカードを使用し、次々と仲間たちを「十代の手によって」葬り去っていきます。十代はブロンに対し、また邪心経典に「疑」がつづられなかったことによって「超融合」が完成せず、結果として産まれたモンスター「暗黒界の魔神レイン」に対し怒りを爆発させます。

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「魔神レイン!お前のためにオレの仲間は……!友たちは……!絶対に許さねぇ!!」

「レイン!暗黒界の魔神レインは、何度倒してもオレの怒りはおさまらない!ぶっ倒しても!ぶっ倒しても!!ぶっ倒しても!!!……オレの仲間たちはもう……蘇らないんだ……!」(TURN-136 邪心経典発動!暗黒界の魔神レイン)

十代が救い出す道しるべだったヨハンの象徴「レインボー・ドラゴン」と「魔神レイン」で「虹」モチーフが被っているのが非情です。

十代は狂王ブロンを完膚なきまでに叩き潰します。そしてブロンからある言葉を言い残されます。

「クハハハ……アハハハ……いい表情だぜ。怒りと憎しみ、苦しみと悲しみ、まだやり足りないというお前の心の中で、それらの負の感情が渦を巻いている!」

十代は残った仲間たちとも孤立します。その後、手に握られたカードは不完全な「超融合」でした。

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十代の中に産まれた負の人格「覇王」がここで目覚めてしまいます。覇王となった十代は超融合を完成させるため、異世界の住民たちを軍を率い滅ぼして回ります。ブロン戦であれほど自分の手によって人を殺めることに葛藤していたはずの十代が、心の闇に落ち他者を躊躇なく手にかけることによって拭いがたい「罪」を背負う形になってしまうのです。残った仲間たちによる犠牲の特攻によって覇王から解放されても、自分の手によって人々を殺めていったという罪から逃れることはできません。そんな中、ついに探し求めていたヨハンが見つかります。ユベルが憑依しているという最悪の状態で、ですが……

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十代はヨハンを助けるため、また、今まで犠牲になっていった仲間たちのために、ユベルに挑みます。

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ユベルはかつて、幼少期の十代にとって精霊が宿るフェイバリット・カードでした。ですがデュエルで十代が負けた際に対戦相手を昏倒させるといった行いをしていたため、正しくなってほしいという願いを込められカプセルに入れられ宇宙に射出されました。しかし、その際に第2期に登場した破滅の光の影響を、かつカプセルの中で耐え難い苦痛を受けてしまいます。ユベルはこの経験から「痛みを分かち合うことこそ愛の形」という歪んだ思想を持ち、十代に対しても苦痛を与えていたという事実が判明します。つまり、結果論ではありますが第3期における今までのユベルが絡んだ事件の原因の発端は十代の行動にあったといっても過言ではありません。ここで十代に「責任」が生じます。

ヨハン(ユベル憑依)とのデュエルでは闇に染まったヨハンのカード「究極宝玉神 レインボー・ダーク・ドラゴン」が十代を苦しめますが、ネオスとレインボー・ダークを超融合で融合させることでレインボー・ドラゴンに浄化し、ヨハンを救出することに成功します。しかし、ユベルの使用したカードによって超融合はユベルの手に渡り、十代とユベルの戦いは第二幕へと移ります。

第二幕ではユベルは自分自身のカードを使用し、カード「ユベル」を使って十代と戦います。この「ユベル」は相手モンスターの攻撃力を反射して相手にダメージを与える効果を持ち、精霊ユベルの性質を反映しています。一方の十代は自らのデッキに秘められている正しき闇の力を宿した精霊たち=ネオス、ネオスペーシアンたちや自分自身に宿した覇王の力と共にユベルに対抗し、ヨハンから託されたレインボー・ドラゴンとネオスを融合させたモンスター「レインボー・ネオス」で「ユベル」を除去しようとします。しかしそれが「ユベル」の進化の引き金となり、「ユベル」の最終進化形態「ユベル Das Extremer Traurig Drachen」の召喚を許してしまいます。

しかし、デュエルの途中で十代はユベルと前世から繋がる因縁があることに気づきます。それは前世の自分がかつて世界王の息子だったこと、ユベルが美しい姿を改造し、醜い竜の姿になってでも前世の十代を守ろうとしたことです。この事実を知った十代は、ある決意をします。

そしてユベルは十二の次元を統合するべく「超融合」と「チェーン・マテリアル」の効果でレベル1〜12のモンスターを融合させたモンスター「超融合神」を召喚しようとしますが、十代は「チェーン・マテリアル」に対し「スピリチュアル・フュージョン」を発動します。このカードの効果は融合召喚を行う場合、融合素材に使用するモンスターをプレイヤー=十代が選択することができる、というものです。十代はここで自分自身とユベルを融合させることを宣言します。

「(前世十代)僕たちが戦わなくちゃいけないのは、宇宙を破滅に導く光の波動。君の魂を歪めてしまった光の波動を追い払い、覇王十代の魂が君に乗り移る」

「(十代)もしそれで、オレという存在がなくなってしまうとしても、オレは構わない。超融合を発動!オレとユベルの魂をひとつに!」

「(ユベル)ふたつの魂はひとつとなって、もう決して離れることはないんだね……ボクは今キミの愛と力に包まれている……共に戦おう!宇宙を破滅に導く光の波動と!」(TURN-155 レインボー・ネオスVSユベル究極態)

十代はここで自分自身に課せられた「罪」と「責任」を、自分自身が消えてしまう可能性があるとしてもユベルと融合することで全ての現象をおさめようとしたのです。十代は異世界での壮絶な体験を経て、責任を果たすことができました。

 

こうしてユベルの魂は浄化され、異世界で葬られた仲間たちも全員元の世界に戻ることができました。しかし、元の世界に戻ってきた人々の中に十代の姿はありませんでした……

 

4期:十代の成すべきこと、そしてたどり着いた果て

https://pikadango-key.hatenablog.com/entry/2022/07/04/220424