遊城十代は人生そのものである 第2期
2期:ヒーロー同士の戦い、はじめての挫折、そして世界を救った・救ってしまった十代
1期編はこちら↓
https://pikadango-key.hatenablog.com/entry/2021/02/22/175153
2期では十代たちが2年生に進級し、新たな登場人物が学園にやってきます。1人はエド・フェニックス。もう1人は斎王琢磨。この2人が2期における十代にとってのキーパーソンとなるキャラクターです。
エドは最初寄せ集めのカードを使った手抜きの状態で十代と様子見のデュエルを行い、その後もう1戦十代とデュエルを行います。2戦目では十代と同じくE・HEROシリーズのカードを使いますが、それはエドの本気ではありません。
エドにとっての真の相棒たるカードはD-HERO(デステニーヒーロー)、運命をあやつるヒーローです。
ダークヒーローな感じがE・HEROと違ってカッコいい
D-HEROは何者かによって殺害されてしまったエドの父親(カードデザイナー)がエドに遺したカードで、エドは父親を殺害した犯人を探し求める手がかりをつかむために学園にやってきました(画像紹介文にある「とある目的」)。エドにとってD-HEROは自身の覚悟の象徴であり、大切な人が遺したかけがえのないカードたちなのです。十代と同じくヒーロー使いではありますが、その性質は全く異なります。エドもそれを自覚し、自身の感情を十代にぶつけます。
「楽しいぜ、エド!ヒーロー同士が戦う、こんなワクワクした光景を見たのは、はじめてだぜ!」
「楽しいだと……笑わせるな十代!ヒーローが戦わざるをえない宿命は、決して楽しいものなんかじゃない。ヒーローの背負った十字架の重さが、苦しみと憎しみが、お前にわかるか!十代!」
「苦しみと憎しみ……?」
「それが、ヒーローを支える強さだ!ムカつくんだよ。お前のように格好や憧れだけでヒーローを使うヤツが!」(GX TURN-58「VSエド(前編)Eヒーロー対Eヒーロー」)
「確かに、お前はいい腕をしたデュエリストだ。だが、お前は絶対にボクには勝てない。なぜなら、ボクにはあるものがお前にはないからだ!」
「ヒーローを、渇望する理由さ!ボクは、このD-HEROの力を使い、父さんを殺したヤツに復讐する!」
「ボクには必要なんだ!ヤツを倒すためにボクに力を与える本当のヒーローが!」(GX TURN-59「VSエド(後編)運命のDヒーロー」)
十代は、エドに負けます。そして、今まで共に戦った相棒のカードたち、自分の愛するヒーローたち全ての絵柄が見えなくなってしまいます。
子ども心ながらに衝撃的だったシーン
十代はスランプに陥ります。
直後の回で行われたデュエルでも仲間から「十代がデュエルを見にこないなんて初めて」と言われるほどの状態になります。
授業にも参加せず、心配しにやってきた仲間に「いつまでそうしているつもりだ」「調子狂うんだよ。お前がそんなうじうじしてると。オレは這い上がってきたぞ」と励ましの言葉をかけられても空虚な反応しか返せません。
今までのように楽しくデュエルすることすらできない、完全なる挫折です。
そんな十代にある転機が訪れます。
行くあてもなくただ船を漕ぐ十代に突然彗星が衝突し、衛星イオという異世界に転送されてしまったのです(なおGX世界は1期で墓に行けば異世界に転送され、浴場に行けば異世界に転送されることがあったので異世界に行くことは最早驚くことではありません)。そこにはドルフィーナ星人と名乗る奇妙な生命体が居ました。その正体はN(ネオスペーシアン)・アクア・ドルフィン。かつて十代が海馬コーポレーションが公募したカードコンテストに応募したカードが実際にカードになったのです。
イルカにマッチョな手足が生えたヤバいデザインです。ちなみに十代が描いたのはこっち
元は普通のイルカなのに何故手足を生やしたのか
そんなアクア・ドルフィンに、十代は自らに課せられたある使命を伝えられます。
「今宇宙は、破滅の光により滅びようとしている。我々はその光と戦える『正しき闇の力』を持つものを探して、キミに白羽の矢を立てたんだ」
「十代、ワクワクを思い出すんだ。宇宙を救えるのはキミしかいない」(TURN-62「進Eヒーロー!ネオス」)
十代は新たな仲間「ネオスペーシアン」と「E・HERO ネオス」と出会い、ワクワクを思い出しました。
中央にいるのがネオス、他6体がネオスペーシアンです。動物をモチーフとしたE・HERO以上に個性豊かなヒーローたちです
なお、アクア・ドルフィンから伝えられた十代が司る『正しき闇の力』というワードは後々の伏線となります。
十代は新たなヒーローたちをデッキに組み込み、エドに再戦を申し込みます。そして、ネオスたちを加えたヒーロー同士の対決が再び巻き起こります。
そこで十代は、エドに対してカードデザインに関する感情をぶつけます。エドも、かつての自分のこと、父親のことを思い返していきます。
「きっとお前の父さんも、お前がD-HEROを見て苦しい思いをするんじゃなく、喜んでもらいたくって作ったはずだぜ」
「(そう……父さんはボクに何体ものヒーローを描いてくれた……ボクを喜ばせるために……なのに、今ボクはD-HEROたちを見る度に心が苦しくなる。父さん……)」
「(ボクの運命を背負う……?ボクは、ボク自身の運命をD-HEROに背負わせ、ボクがD-HEROを運命の囚人にしているというのか……?)」
勝負は五分五分のところまでもつれ込みましたが、最後は十代の新たな仲間「E・HERO フレア・ネオス」という、ネオスとフレア・スカラベというネオスペーシアンが融合したヒーローが決着を付けます。エドもフレア・ネオスを見て思わず感嘆の声をあげます。
「そうだ……ボクもかつて新たなヒーローの登場に胸躍らせていた……これがお前のヒーローか、十代」(TURN-68「VSエド(後編)炎のフレア・ネオス」)
十代はエドに勝利し、エドも十代のことを認めるようになりました。
一方そのころ、もう一人のキーパーソンである斎王はデュエルアカデミアを白に染めあげようとしていました。より具体的に説明すると、自分がデュエルした相手を「光の結社」という自分の支配下におき、その配下がまた別のものをデュエルで負かして光の結社に加入させるという宗教のような行為を行っていました。斎王の親友であるエドも斎王の行為には疑問を抱きますが、具体的な答えは返されません。斎王の手により着々と十代の仲間たちが加入していきますが、十代は立て続けにデュエルで勝利して仲間を救い出します。
そしてある程度の時期が経ったのち、ついにエドの父親の仇が見つかります。その人物は10年無敗の世界チャンプにしてエドの育ての親といっても過言ではない人物でした。エドは苦しみながらも仇を倒し、究極のDと呼ばれるカード「D-HERO Bloo-D(ブルーディー)」を手にします。そしてBloo-Dに遺されていたエドの父親の残留思念から伝えられた事実は「Bloo-Dはかつて破滅の光が宿っていたが、今は抜け殻の状態」「現在破滅の光は斎王に宿っている」というものでした。斎王に宿った破滅の光は衛星ソーラという装置を使い、地球を滅ぼそうと暗躍していました。ソーラを動かす鍵はふたつ。ひとつは斎王の手にあり、もうひとつは十代の手にあります。
父親から真実を告げられたエドはBloo-Dを携え斎王(破滅の光)に挑みますが、惜しくも敗れてしまいます。十代はエドを救い出すためにソーラの鍵をかけて=地球を救うために斎王(破滅の光)にデュエルを挑みます。そしてGX屈指の迷場面「斎王の妹の残留思念が衛星ソーラを止め恐竜DNAが覚醒してスペースザウルスに進化した剣山(十代の仲間)とネオスがソーラを破壊する」現象が起こります。(TURN-104「勝利の行方は?!十代VS斎王」)
絵面の情報量がすごい
そして十代は斎王に宿った破滅の光を打ち倒し、世界を救ったのでした。めでたしめでたし。これが2期の終わりです。
以上のようにGX2期では挫折からの再起、そこからの大躍進が描かれています。
本来のヒーローものであればこれで世界を救ったのでハッピーエンド……となるのですが、GXはそうはなりません。十代はここで世界を「救ってしまった」事実を背負うことになります。この事実が何を呼び寄せるのか、それは第3期で解説します。
次回
3期:十代に課せられた責任、罪、そして十代の選んだ道とは
https://pikadango-key.hatenablog.com/entry/2022/03/27/225353